篠原邸の設計に当たっては、新築工事の設計とは根本的に頭を切り替え、古い民家がもつ優れた内容を発見して、その長所を生かすことを設計の際の基本姿勢として改修工事を行いました。
篠原様から二世帯住宅として、明治40年、築100年の民家再生計画を依頼され、設計にあたってのテーマは次のことでした。
1、この地方特有の深い軒先をもつ広々とした空間と屋根の形態を生かすため、創設時の形にもどしての再生とする。
2、「捨てないで生かすこと」構造体を生かし、古材、建具、大谷石などを徹底利用して現代住宅として活用する。
3、若い世代のお子様にアトピーが少々あるため、できる限り自然素材の使用とする。
4、役所との事前相談の結果、建築確認申請は不要ではあるが、できるだけ法に基づいた設計とする。
その他、揚家工法による完全な基礎工事、雨水対策、屋根荷重の軽減、小屋裏の利用などを行いました。
篠原邸の設計当初、宇都宮という遠距離からの設計依頼をいただき設計監理をお受けするかどうか少々迷いました。
民家の再生は現場監理が大切で、現場にも繁く
通わねばならないからです。しかし、工事が進むにつれ安心してきました、それは建て主側の設計に対するご理解と共に、施工側の監督もしっかりしていたこと
です。民家再生は施主・工務店・設計者間のコミュニケーション次第で遠距離などあまり関係でないことを改めて確認することができました。
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