千葉県夷隅郡の農家に建っていた築80年以上の米蔵を移築しました。
建主は音楽好きの若い御夫婦と赤ちゃんの3人、自然素材を愛し、地球環境を大切に考えている御家族です。
米蔵の大きさは3間×5間と外部の下屋(げや)、構造体は可能な限りそのままの形で使用しました。蔵には生活の中心となる室を配し、必要な機能を新しく付
け足すという平面構成です。蔵のロフト空間にある寝室、光に満ちたオープンな水廻りなど新旧の建物、モダンと伝統の融合と対比を試みました。
納戸としてしか利用されていなかった米蔵を住まいとして再生することは、住居であった農家を再生するのとは異なる面白さがあります。内部空間を再構成し、
構造体や建具なども生き生きと蘇らせたとき、新築にはない不思議な魅力を持った新しい生活空間が生まれることを、この住宅では再発見することが出来まし
た。
掲載雑誌/2005.04 古民家スタイル No.4 ワールドフォトプレス