敷地は所沢市、西武球場前駅から徒歩15分程度のところで、敷地の北側は“トトロの森”に継がる里山であり、南側には畠の緑が広がる、なんとも羨ましい環境の中にある。
この敷地には建主のご両親が以前住まわれていた農家があり、そこに「緑の中に住みたい」というオーディオ好きのご夫妻が住む住居として建て直すことになった。
幼い頃の思い出豊かな実家を単に解体してしまわず、なにか今に生かせるものは残して再利用したいとの建主の考えを生かし、一部丸太の小屋組と座敷の床の間や建具を新築工事の中に組み込んだ設計としている。
新築工事でいつも感じることは、新しい材料か悪いわけではないが、成分不明の材料や素性の分からない材はなかなか使用する気になれない。なんでも昔のものが良いわけではないが、自然素材がもっとも日本の住宅には合性が良く、特に古民家で使用されていた材料は一番信頼できることだ。
中村邸でも古材の梁や建具など全く違和感なく新しい空間に溶け込んでいる。